設立趣意
- Beyond 5G (B5G) / 6Gの名称で知られる次世代以降の無線システムでは、極めて多様化したシステム要求を満足するために、高スループット、高モビリティ、低遅延、多数接続、省電力等の高度化要素をヘテロジニアスに具現化することが想定される一方で、システム設計に際する評価試験等のコストは増加の一途をたどることが予想されます。
- このような問題に対し、電波を発することなく無線システムの挙動を模擬し、評価を可能とするワイヤレスエミュレーション技術を含むサイバー・フィジカルシステム(CPS)の構想は、最も有効な解法のひとつと考えられ、わが国では総務省の研究開発プロジェクト「仮想空間における電波模擬システム技術の高度化に向けた研究開発」を通じて研究開発と実用化の促進が図られています。
- CPS構想の中核に位置付けられるワイヤレスエミュレーション技術について、関連する研究開発を飛躍的に加速化させるとともに、当該技術の社会展開を可能な限り活性化させるためには、当該技術の在り方・利活用等をユーザ視点で適切かつ網羅的に議論する機会を提供することの意義は非常に高いことは明白です。
- 以上の趣旨から、関係府省である総務省の賛同を得ながら、関連する研究開発機関、ユーザ企業等による連携母体として、「ワイヤレスエミュレータ利活用社会推進フォーラム」を設立することとしました。
会長挨拶
ワイヤレスエミュレータ
利活用社会推進フォーラム
会 長 原田 博司(京都大学 教授)
ワイヤレスエミュレータとは、仮想空間上に電波利用環境を構築し、様々な条件下で無線システムを模擬し、評価を屋外実験等を行うことなくリアルタイムに行うための電波模擬システムです。このシステム実現のための研究開発等を総務省の「電波資源拡大のための研究開発」等により令和2年度から同5年度までの期間、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)を含む全11機関が受託し実施しています。
本ワイヤレスエミュレータ利活用社会推進フォーラム(WEPF)は、このワイヤレスエミュレータの利活用の推進を図るため、ワイヤレスエミュレータに関する研究開発の促進のための情報収集・交換、関係機関との連絡調整、普及啓発活動等を行い、新たな無線システムの研究開発にかかる費用や期間の圧縮、制度化に必要な検討作業の効率化及び周波数利用効率の向上等に寄与することを目的とし、令和4年2月17日に発起人会が開催され設立となりました。
フォーラムを行う上で重要な点としては、まず本エミュレータで評価する利用モデルをできるだけ多く創出することです。また、本エミュレータを利用したより正確で効率的な評価や新規ビジネス創出を促進するため、エミュレータを開発していない方が研究・開発・利活用に参画できるよう各種インタフェイスを創ることが重要になります。そして本エミュレータのコア部分は無線通信に関する知見を有するNICTが先導して整備・維持し、かつ産学官の色々な方が本フォーラムを通じて自身の知見・技術を持ち寄り、それらを統合・昇華させる形で、エミュレータを電波利用システム評価のための新たなプラットフォームとし構築することが必要となります。
今回、本エミュレータの必要性に共感し、本フォーラム設立に多くの方が発起人としてご参加頂きました。この場を借りて感謝申し上げます。また今回、本フォーラムにご入会された方におかれましては、ご入会に感謝申し上げるとともに、本エミュレータが新たに創り出す未来に対する皆様の期待にできるだけ応えることができるように本フォーラムを推進してまいります。
Beyond 5G、6G時代の研究開発においては、今まで以上に日本の存在感を世界に示し、研究開発を牽引する必要性があります。本エミュレータの利活用が一つの起爆剤となり、日本の無線通信に関する研究開発・実用化が少しでも促進することを願っております。また、ご入会いただいた皆様に対しても少しでもご自身の研究開発に還元ができるよう微力を尽くして取り組んでまいります。一層のご参画とご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
役員紹介
委員
会 長:
国立大学法人京都大学 大学院情報学研究科
教授 原田 博司
副会長:
国立大学法人東京工業大学 環境・社会理工学院
学院長・教授 高田 潤一
運営委員会
運営委員長:株式会社 KDDI総合研究所
執行役員 岸 洋司